#34 ビールとチーズでも触れましたが、ビールとの相性がいいチーズひとつとして、ウオッシュタイプのチーズがあります。ウォッシュチーズとは、適切に温度管理された熟成庫のなかで、塩水やマール、ワインやブランデーなどの液体を定期的に吹き付けて熟成させますが、代表的なものとして、エポワス、リヴァロ、ポン・レヴェックなどがあります
今回はその中でも割とクセの強い、『リヴァロ AOC』を購入しましたので、簡単にご紹介したいと思います。
『リヴァロ AOC』はノルマンディー地方の同名の町で作られてきた、個性豊かなウォッシュタイプチーズ。その側面に、型崩れを防ぐ目的で、葦(あし)の一種を5列巻きつけていましたが、それが有名になり、軍人の階級を表す「コロネル(=大佐)」というニックネームまでつけられるようになりました。今でもその名残として、オレンジ色の紙テープで代用されていますが、これこそがリヴァロのシンボルのようです。
ウオッシュチーズは、その強烈で独特な匂いのおかげで好き嫌いが分かれるタイプのチーズです。この『リヴァロ AOC』もその例に漏れず匂いがかなりきつく、初めての人は食べるのに躊躇しますが、思い切って食べてみると、そのスパイシーでクリーミィな味わいにちょっと驚きます。舌触りは滑らか、もちもちとした食感もチーズの旨味をうまく引き出す要素となっています。匂いとは裏腹の、ミルクのコクがたっぷりの味わいに、クセになる人は多いようです。
それで肝心のビールですが、このチーズと相性がいいのはボディが強めのビール、例えば "レフ・ブロンド" や "シメイ・ブルー" 等々。どちらもフルーティでスパイシーな香りが特徴のビールですが、それがウォッシュチーズのコクのあるクリーミーさとうまくマッチして、ビールの美味しさが引き立つように思えました。これはあくまでも個人的な好みに左右されますので、他にもっと相性抜群のビールがあれば、教えていただければと思います。
この他にも相性の良いチーズは、まだまだ沢山ありますので、折りをみて紹介していきたいと思います。
※AOC(Appellation d'Origine Contrôlée / アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ):
フランスの農業製品、ワイン、チーズ、バターなどに対して与えられる認証であり、製造過程及び最終的な品質評価において、特定の条件を満たしたものにのみ付与される品質保証。