#15 クリスマスビール

今日、12月24日はクリスマスイブ。皆さんそれぞれにクリスマスを楽しむため、いろんな準備をされていることと思います。街並もクリスマス一色で、ウキウキワクワクといった気分でいっぱいですね。そこで、今回はそんなクリスマスをもっと楽しむための仕掛けとして、欧米では一般的な「クリスマスビール」を紹介したいと思います。

クリスマスの飲み物といえばワイン・シャンパンですが、特にワインは「キリストの血」といわれるように、キリスト教とは密接な関係にあります。そんなわけでクリスマスの時期にワインを飲むのはごく自然なことで、結果、この時期のワインの消費量は普段の数倍となるようです。ちなみに日本人一人当たりのワインの年間消費量は平均約2リットル。仮にクリスマスの日にボトル(720ml)1本をあけるとしたら、それだけで年間消費量の半分近くが飲まれたことになりますね。ちょっと話がそれてしまいましたが、クリスマスというのはキリスト教徒にとっては特別な日で、アルコールの消費量も一気に上がる時期でもあります。それもあってビール醸造所もワインと同じようにクリスマスを祝うための特別なビールを造ったのが、このクリスマスビールの始まりだといわれています。

クリスマスビールはまだ長期保存技術が乏しかった頃、天然の保存料となるスパイス類をたっぷり使い、さらに長時間の発酵・熟成によりアルコール度数を高めることで長期保存を可能にし、クリスマスからお正月の時期に美味しく飲めるように工夫がされたビールです。そのため現在もアルコール度数が高めのダークビールがベースとなっており、ホップ以外に、クローブ、シナモン、リコリスなど様々なスパイスを使うなど、醸造所にとっては自社の醸造技術満載の自慢のビールでもあります。したがって、一気に飲むのではなく、アロマ・フレーバー、苦み、口当たりなどを、時間をかけて味わうことをお勧めします。

 

それでは以下に代表的な銘柄をご紹介します。

 

■ブッシュノエル

トゥルネイ東部にあるデュビソン醸造所のクリスマスビールです。モルトはピルスナーモルトとキャラメルモルト、ホップは、ケント産ホップとゴールディングホップが使用されるなど、贅沢な素材がたくさん使われた、クリスマスのために造られた特別なビールです。

■アンカースペシャルエール
毎年末にアンカー社のビールを愛飲するお客様に 「感謝の気持をこめて」届けられる特別限定エールで、1975年から毎年製造されています。
シナモン、ナツメグなどのハーブ、スパイス類で風味付けされたこのエールは、毎年違うレシピのもとその栓を開封するまでその年の味わいを確かめられない大変貴重なエールとされています。

■ゴールワーズ・クリスマス

ベルギーのデュ・ボック醸造所のクリスマス限定ビール。焙煎したモルトの甘みと、スパイスの香りのバランスが絶妙のダークビールです。

■サンフーヤン・キュヴェ ド ノエル
オレンジがかった濃い茶色で、フルーティーな香り、チョコレートのような甘い香り、シナモンのようなスパイシーな香りもあり、とても複雑な香りを楽しむことができます。味わいはスパイシーでモルトのしっかりとした甘味が感じられ、苦味とのバランスも良好です。

■デリリゥム・クリスマス
オランダ語で「アルコール中毒による震え」という意味を持つベルギーのデリリウム・トレーメンスのクリスマスバージョン。5種類のスパイスが絶妙な味わいを作り出しています。3種類のフランス産ダークモルトとベルギー産ホップを使用したアンバータイプです。

この他にもいろんな種類のクリスマスビールがありますので、飲んだことがない方には是非一度味わってみることをお薦めします。そしてお気に入りのクリスマスビールを見つけ、年に一度の楽しみとしてみてはいかがでしょうか。。