ワインやシャンパンには専用のグラスが存在しますが、もちろんビールにも専用グラスといえるものが存在します。ビアガーデンなどではお馴染みの取手付きのジョッキや、ピルスナーグラスなどの専用グラスにお気に入りのビールを注いで飲むと、何だか美味しくなった気がしますが、それを突き詰めたのがベルギービール。何とブランド・銘柄ごとに専用のグラスが存在しています。
専用グラスは香り、味わいそして泡立ちなど、そのビールを最もおいしく飲むことができるように造られており、ベルギーのカフェでは、たとえビールがあってもその専用グラスが出払っていればビールを出してくれないほどベルギービールと専用グラスとは密接な関係があります。
ただ専用グラスといってもブランドと同じだけ種類がある訳ではなく、大きくわけると聖杯型、チューリップ型、フルート型、タンブラー型など6タイプに分類することができるようです。
以下、“ベルギービール Japan”より
■聖杯型
名前からもわかるとおり、キリスト教の儀式でワインを入れる聖杯を模したもので、トラピストやアビイなどの修道院ビールで使われることが多い。飲み口が広いのは、芳醇な香りを楽しむためといわれ、また修道院ビールはアルコール度数が高めものが多く、ゆっくり飲めるよう平たくなっている。代表的な銘柄は、“ORVAL”。
■チューリップ型(バルーン型)
口の下にあるくびれた部分で泡を押さえつけて固めることで、泡持ちをよくするとともに、泡がグラスの外にあふれ出すのを防いでいる。また、泡には炭酸ガスを中に閉じ込める働きもあるという。代表は、写真にある"Duvel"のグラス。底には美しい泡立ちを保つため、わざと小さな傷をつけている。
■フルート型
"Boon Framboise"など、ランビック系の酸味のあるビール用に作られたのがフルート型。ランビック系のビールは広口のグラスで飲むと、舌の両側で酸味を受けてしまうため、ビールが舌の中央の甘みを感じる部分に直線的に当たるように細長いフォルムになった。適度に泡立てることができ、色合いを楽しめる形でもある。
■タンブラー型
ホワイトビールやセゾンビールなど、色が薄めで低い温度で飲みたいビールは、ズシリと重たいタンブラー型が最適。4~5ミリもある分厚いガラスの保冷効果のおかげで、クリーミーな泡とさわやかな口当たりの清涼感が楽しめる。ちなみに写真のヒューガルデン・ホワイトのグラスは、“逆さまにした釣鐘”を型どったものらしい。
■複合型
細身の足付きタンブラーやフルート型+チューリップ型、聖杯型+チューリップ型など、いくつかのタイプのグラスがブレンドされた形。ワイングラスのような長めの足が付いたものが多く、2種類のグラスのいいとこ取りという感じ。ビールのタイプによる偏りはそれほどない。
■取手付き&特殊型
蜂蜜味のバルバール、木製の台の付いたパウエル・クワック、リーフマンスのホットビール……などなど、キャラクターの立ったビールに多いタイプ。ジョッキ型や台付きなど取っ手のあるもの、または、他の5種には収まりきらない特殊な形のものが、ここに分類される。