数あるベルギービールの中でも、特徴的なビールといえば「トラピストビール」ではないでしょうか。トラピストビールとは「トラピスト会修道院で造られているビールのこと」で、醸造所はベルギーに6箇所、オランダに1箇所の計7箇所あります。基本スタイルはアビーエールで、日本ではオルヴァル、シメイがよく知られています。
■ ベルギー
Orval オルヴァル(Notre-Dame d‘Orval オルヴァル修道院)
トラピストビールのシンボル的存在の「オルヴァル」。20世紀初頭のアールヌーボーのスタイルで、瓶もグラスも含めすべてが美と平和を念じてデザインされているという。遺跡は見学可だが、醸造所は不可。
Chimay シメイ (Notre-Dame de Scourmont スクールモン修道院)
1861年よりこの地で修道士がこの地で醸造していたが、ルーベン大学で近代的な醸造方法を学んだテオドール神父によって、トップのトラピスト醸造所となった。
Rochefort ロシュフォール (Notre-Dame de Saint-Remy サンレミ修道院)
醸造開始は1900年からだが、ビール瓶にラベルを貼るようになったのは、1998年から。規模は小さいが研究開発を怠らず、高品質のビールを造り続けている。その特徴は、すべてのビールは一つのレシピをもとに、製品ごとに少しづつ変えて造られており、他のトラピスト醸造所と同様に、生産量は限られている。
Westvleteren ウェストフレテレン (Saint-Sixte シント・シクスタス修道院)
説明不要なほどに有名な醸造所。ウェストフレテレンのセント・シクステュスは、別格の存在といわれている。ビールの販売は電話予約のみで、まるで神への祈りの間に造られているかのように、生産量が限られている。
Westmall ウェストマール (Abadij der Trappisten - Malle ウェストマール修道院)
修道士が醸造を開始したのが1836年、ゲートでビールの販売を開始したのがその20年後。建物自体は古いが、修道院醸造所では最も近代的な設備を誇る。アビーエールのお手本ともいえるビールを「ダブル」「トリプル」として販売。
Achel アヘル (Sint-Benediktusabdij ベネディクトゥス修道院)
1998年に84年間の休止期間を経て、醸造を再開。パブ併設の醸造所として運営され、多くの旅行者やサイクリストの来訪を受けている。
■ オランダ
La Trappe ラ・トラッペ(Abdij Koningshoeven コニングスホーヴェン修道院)
ベルギー国外にある唯一のトラピスト醸造所。ビール醸造をはじめたきっかけは、新しく修道士を入会させる方法として、バイエルン地方でのビール販売を始めたという。ビール醸造は今でも修道士の管理のもと、修道院の敷地内で行われている。